道イキントウ

イキントウ四曲のうち最も新しいのがこの道イキントウです。この曲を、夜半以後鶏が時を告げるまでの間に、三味線を弾きながら道を通ると幽霊が出てくると言われていました。
後生(あの世)に深いつながりのあることばを用いていることから、幽霊がつくと言われたのは、もっともなことだと考えられました。曲調も著しく哀調を帯び、切々たるものがあります。
(一)
後生ぬ門や一門 あみだ門や七門 うり明きてィ見りば 親ぬいめい
(二)
あたらしゃる親や 長棺に入りてィ 六月ぬ太陽に さらす辛さ
(三)
後生にいえぬる親ぬ 何がよう欲しぬ物や 水ぬぱちぱちとゥ 花ぬ三枝
(四)
あわりさみ親や 後生じ石まくら 石枕しちゅてィ 何眺みゅんが
訳:
一 あの世への入口は一つであるが、仏門の入口は七つある。それを明けて見れば、そこには亡き親がおいでになるのだ。
二 大事な親を棺に入れて、六月の暑い日照りにさらすのは、子としてまことに心苦しく、しのびないことである。
三 あの世におられる親が、最も欲するものは何であろうか。それは毎月供える水のお初と、花の三枝であるに相違ない。
四 亡くなった親は、あまりにも哀れである。あの世で石枕をされていて一体何を眺めておられるのだろうか。それを思うにつけても何と悲しいことよ。

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